第一回目
初動対応の重要性、初動対応ですべきこと全体像、初動対応の失敗例
研修ポイント
- 初動対応が最も重要である
- 初動対応を誤ると保護者との信頼関係が壊れ、園の存続が危機に瀕する
- 初動対応を誤ると職員との信頼関係が壊れ、最悪の場合、職員が死に至ることも
- 初動対応では保護者感情の激化にどう対応するかが大切
- 初動対応には決まった「型」がある。基本を押さえよう
虐待・不適切な保育事案の対処で最も大切なフェーズは「初動対応」です。初動対応を誤ると、保護者との信頼関係が大きく損なわれてしまい、園の運営に大きな悪影響が出ます。また、初動対応を誤ることで、職員との間の信頼関係も損なわれてしまい、職員が大量離職したり、園の対応に不満を持つ職員が報道機関に情報をリークしたり、それが結果として炎上騒ぎに発展してしまうこともあります。最悪の場合、メンタルヘルス不調を来した職員が死に至る事例も発生しています。
また、虐待・不適切な保育事案では、特に初期の場面では「保護者の感情の激化」という事態に落ち着いて対処することが大切になります。一部、暴徒化してしまうような保護者も見られ、カスタマーハラスメントの対処の知見も交えながら対応していくことが必要です。
第一回目の研修では、初動対応に失敗した事例を複数紹介し、初動対応の段階でしてはいけないことを学んでいただきます。その上で、初動対応を実施すべきこと、対応の全体像を説明します。具体的には、虐待・不適切な保育事案が発生したら、早急に園の運営責任者を中心としたメンバーで打合せを実施し、簡易的な調査を実施することを通じて事案の全体像を掴み、今後の事実調査に向けた基本方針を策定します。基本方針で策定する内容は、調査範囲、調査の進め方、被害児童の保護者・在園児の保護者への報告、行政への報告、職員への伝え方、報道機関の対応などがあります。基本方針は、個別具体的な事情に応じて、慎重かつ迅速に定める必要があるので、虐待・不適切な保育の疑いが発覚した場合は速やかに策定に着手しなければなりません。
そのため、第一回目の研修では、虐待・不適切な保育事案発生時から具体的にどのように基本方針を策定し、初動対応を迅速かつ的確に実施するのかを具体的な事例を元に一緒に学んでいただきます。
第二回目
事実関係の調査方法、職員ヒアリング実践、職員への処分のプロセス
研修ポイント
- 虐待・不適切な保育事案に対して、園として正しく対応していくためには正確な事実関係を確定させることが必要不可欠
- 事実確定無くして誠実な対応は不可能である
- 事実関係の調査方法には正しい方法がある
- 初職員をヒアリングする際の注意点
- 調査内容をまとめる際の注意点
- 不完全な調査に基づいて説明をした後、新事実が発覚した場合、信頼の回復が難しい
- 問題行動を起こした職員に対する処分のプロセス、方法を理解できる
虐待・不適切な保育事案へ適切に対処するためには、事実関係の確定をしなければいけません。虐待・不適切な保育事案の特徴は、「きちんと調査しなければ、一体何があったのかが正確には分からない」という点にあります。正確な状況把握が出来なければ、保護者に対してどのような説明をすれば良いかが定まりませんし、職員に対して今後の園としての方針を示すことも出来ません。とにもかくにも「徹底的な調査を実施し、事実関係を確定させる」ことが大切になります。ただ、やみくもに調査をしても事実関係の確定はできません。ポイントは客観的な証拠の収集と職員からのヒアリングの実施です。
客観的な証拠の最たる例は、園内モニター映像です。しかし、実際の事例では、園内モニター映像等の客観証拠がないケースも多く、その場合は、職員からのヒアリング調査が調査内容のメインテーマとなります。職員のヒアリングについても、誰から実施するのか、どのようにヒアリングするのか、ヒアリングした内容をどのようにまとめるのか等のポイントを抑える必要があります。また、事案によっては、特定の職員が虐待・不適切な保育を実際に園児にしていることが判明する場合もあります。そのような場合、当該職員をそのまま園内で働かせることは園児の安全性、保護者との信頼関係との観点を踏まえても不適当です。そこで、その場合に当該職員に対してどのような労務上の処置をする必要があるのかも、事前に知っておくことが必要です。
そこで第二回目の研修では、事実関係の確定へ向けた調査の方法を具体的に学び、実際に虐待・不適切な保育事案が発生した場合に落ち着いて対処できるような実践的ノウハウを伝授します。
第三回目
保護者説明の基本的心得、被害児童の保護者との個別面談、保護者説明会実施の際の注意点
研修ポイント
- 虐待・不適切な保育事案では、原則として保護者説明会は開催すべきではない
- 保護者へ説明する適切な順序
- 保護者説明会を実施することになった場合、準備すべき事項を知っていただき、徹底的な準備をすること
虐待・不適切な保育事案で多くの園が対応を誤るのは保護者への説明の場面です。ほとんどの園の運営責任者は、虐待・不適切な保育事案では保護者説明会の開催が必須であると思い込んでいます。実際、保護者からも「保護者説明会を開け!」と声高に要求されることが多いので、保護者説明会は必ず開催するものだ、と思い込んでしまうこともやむを得ないかもしれません。
ですが、原則として保護者説明会は開催すべきではありません。虐待・不適切な保育事案の発生を受けて、きちんとした調査に基づいて事実関係が確定された際、被害を受けた児童が判明したとします。この場合、まず謝罪と報告をすべき対象者は被害を受けた児童の保護者です。当該児童やその保護者のプライバシーや個人情報保護の観点から考えても、いきなり全体保護者説明会を開催することは相応しくありません。被害を受けた児童の保護者への説明の次は、当該クラスの他の保護者との個別面談の実施です。
虐待・不適切な保育に及んだ職員は自宅待機を命じられたり、退職していきます。そうすると、年度途中で担任の先生が交代になるなど、虐待・不適切な保育事案が生じたクラスには、大きな影響が出ます。そこで、被害を受けた児童の保護者に対し説明した後は、当該クラスの他の保護者との個別面談を実施し、謝罪と報告をすることになります。そして、その他のクラスの保護者に対しては、書面での説明と、個別に質問や相談を希望する保護者に対する個別面談の機会の提供です。
このように、保護者へ説明すると言っても、正しい順番があるということを知る必要があります。ただ、保護者説明会の開催をすべき事案もあります。虐待・不適切な保育が園児が大怪我を負う等の重大な結果を伴っているようなケースなどがそれです。保護者説明会を開催する場合には、やみくもに開催するのではなく、「徹底的な準備」が必要です。
第三回目の研修では、上記のように、保護者への説明の仕方を、具体的な事例を通して徹底的に学ぶことで、実際に事案が生じた際に落ち着いて対応できる実践的ノウハウを提供します。
第四回目
行政調査への対処法、マスコミへの対処法、保険会社との交渉方法
研修ポイント
- 行政調査・監査への対処法のポイントとして、調査・監査を受ける時の当日の注意点
- 行政調査・監査の実施前に行政担当者と取り決めておくべき事項
- 行政担当者が使用する虐待・不適切な保育の定義が何に準拠しているのかを理解する
- 改善指導に対する対応の仕方を理解できる
- マスコミへの対処法として、絶対にやってはいけないことを理解できる
- マスコミの取材に対する園としての対処法が理解できる
- 保険会社との交渉ノウハウを知ることができる
虐待・不適切な保育事案が発生すると、ほぼ必ず行政の立入り調査がセットで実施されます。場合によっては、監査も実施されます。園としては、行政調査に対してどのように対応すれば良いか、その知見が無いことがほとんどです。実は、調査を実施する行政側も虐待・不適切な保育の調査の実施に慣れていません。行政担当者自身、2年~4年程度で部署異動が発生するため、幼保事業の担当部署に所属している間に虐待・不適切な保育事案が管轄内で生じること自体が稀であり、必然的に担当者にも部署そのものにもノウハウの蓄積がされにくいのです。
そのため、虐待・不適切な保育の意味合いを正しく理解せずに事実認定をするケース、幼保現場の状況を考えずに行政側の事情による一方的な調査の実施など、漫然と行政調査に対応することで園の運営そのものがおびやかされてしまうケースもあるのです。そこで、行政調査が発生した場合、どのように園側が主体的にその調査に対応していくのか、その方法を実例に基づいて具体的に解説します。
また、虐待・不適切な保育事案について、内部の職員や保護者から報道機関に情報がリークされ、報道による炎上騒ぎに発展するケースも頻繁に発生しています。このようにマスコミに情報がリークされた場合、園や職員に対する取材や報道を見た保護者・近隣住民からの苦情対応等、園の運営に支障を来すような事態が生じることがあります。このような場合であっても、落ち着いて対応ができるようにマスコミ対応の実践を研修で学びます。
さらに、園児が怪我をしたような場合の保険会社との交渉、マスコミの報道による風評被害への対処のための保険対応等、種々の保険会社対応も発生します。普段、あまり保険会社と交渉することに慣れていない園の運営責任者や施設管理者がどのような点を意識して保険会社対応をすれば良いか、実践的に解説します。